音が降ってくる。
「・・・・・・・お」
「キレー、取手クンかな?」
「行こうか?」
「うんッ!」
マミーズへいく予定を変更して、売店で食べ物を大量に買い込んで、二人は降りてきた階段を上った。
「とーりでッ!」
「一緒しよッ!!」
ドアの開閉を静かにする配慮はあったようだが、呼び声がそれを台無しにする。
「あ・・・・・・」
演奏を邪魔された取手は驚いて顔を上げ、声の主が葉佩と八千穂であることを知って微笑んだ。
微笑んだ取手を見た二人は、廊下から室内へ。
「ピアノが聞こえてさ」
「取手クンかな〜っと思ったから」
「見に来たんだ」
「一緒にお昼食べない?」
交互に喋る二人の両手には、三人では食べきれないほどの食べ物がある。
「ボクで良ければ、よろこんで・・・」
「よしッ。じゃあどれにする?たっくさん買ってきたから、好きなの選んでいいよッ」
袋の中身を広げる八千穂に、取手は苦笑した。
「三人で食べるには、少し・・・多すぎるんじゃないかい?」
「あー、平気だよ」
同じく飲み物を広げている葉佩がそれに答えた。
「そのうち、皆集まってくるだろうから・・・・」
言い終わらないうちに、再び音楽室のドアが開く。
「やっぱり此処にいたか・・・・」
「ほら来た」
「やっぱり、皆守クンはカレーパン?」
「当たり前だ」
「見つけましたの〜」
「いらっしゃーい!」
「をーほッほッほッほッ!!すどりん華麗に参上ッ!!」
「消えろ」
続々とやってくる仲間たちを不思議に思っているのが顔に出たのか、葉佩は取手を見上げてピアノを指す。
「途切れるから、すぐ分かるんだってさ」
取手のピアノが葉佩の居場所を知らせてくれて、それが皆への呼び出
し音になってるんですよっていう話です。