廊下を歩いている途中のことだった。

「ぶぇっくしょい!」

恐らく鼻が痛かったのだろう。盛大なくしゃみの後、葉佩は涙目になりながら鼻を押さえてた。そのまま離さずに隣の皆守を見上げる。
察しの良い皆守は気づいて言う。

「そのまま近づいてくるなよ・・・・」
「甲ちゃん、チリ紙〜」

鼻水が・・・・ということらしい。

「そんな前時代のシロモノ持ってない。と言うか、お前は持ってないのかよ?」
「部屋にあるよ」

例え、ティッシュ配りもびっくりなほど在庫を抱えていようがこれでは意味がない。

「ハンカチ」
「持ってないよ。甲は・・・って愚問だな。しゃーない、トイレだ」
「行ってこい」
「ラジャー!」

トイレットペーパーを求め、葉佩はトイレにダッシュ。
出てきた葉佩の鼻は赤かった。トイレットペーパーで鼻を拭くと非常に痛い。

「ふぅ〜、危なかったぜ」
「自業自得だな」
「あれくらいで怒るほうがどうかしてますよ」

葉佩のくしゃみの原因は夷澤との一件にある。皆守のやる気が著しく低かったため、あの場所から夷澤を追い払うのに時間がかかってしまった。
その間、葉佩はずっと寒空の下。
皆守に近づいてきた時は、苦笑いしながら震えている有様だった。
『馬鹿じゃないから風邪引くかも』
『馬鹿は風邪を引かないんじゃない、風邪を知らないんだよ』
そんな軽口を叩いた後、皆守はマミーズ、葉佩は自室へと別れたのが昨日。くしゃみ程度なら上等だ。

「さて、これからどうする?」
「どうするも何も・・・次はヒナ先生の授業じゃん」
「・・・・クソ」

行き先は決定。選択肢無し。
顔を顰める皆守を葉佩は慰めた。

「教室で眠っても一緒なんだろ?覚悟を決めろ」
「・・・・わかったよ」
「よろしい・・・・っと、悪い。用事あった。先行ってて」
「サボるなよ?」

いつもと逆の台詞に葉佩は笑って頷いた。






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大変です・・・・・二分割です(爆)