世の中の進歩ってヤツは加速度的だ。離れた人と話せる機械が発明されて持ち運べるようになったかと思えば、あっという間にボーダレス。機能
だって、話すだ
けではなくなった。もはや電話ではないと思う。
携帯を折りたたみ、彼は得た情報を反芻する。
届いた文字は従弟から。添付された写真は従弟の友人が撮ったものらしい。
従弟は世界を飛び回る職業に就いていて、何の因果か今は新宿にいるらしい。
気が向いたときに送られてくる従弟の一行メールで、彼の友人の顔と名前は知っている。自分の仲間同様に、曲者揃いのようである。
『看病が拒否られるんだけど、なんでかな?』
仲間の店から購入したと思しき丸薬片手に、癖毛の友人に飛び掛る写真。
相変わらずの従弟っぷりに、微笑まずにはいられない。
『照れているんじゃない?頑張って(^0^)/』
絵文字をつけて、遠い国からエールを送った。
うちの黄龍さんは、全てを知ってるくせにソフトに笑って助言するだけの人ですから。聖人に見せて魔王(笑)