「嫌 い?」
「キライ、キライ」

朝……いや昼、皆守が教室の戸を開けると八千穂と葉佩は笑顔でそう言いあっていた。

「あ、皆守クン」

八千穂が皆守に手を振る。

「ねェねェ、私と九チャン好き?」
「はァ?」

いつもいつも突拍子もない二人だが、今日は調子が上がり気味らしい。
答えを待つ目はキラキラしている。
飼い主を見つめる子犬二匹。

だが、飼い主は非情だった。

「好きか、だと?俺の忠告を聞かず墓場を連れ回す転校生。馬鹿みたいに突っ走るクラスメイト……好きな奴はマゾだ。マゾ」
「じゃあキライってこと?」
「俺たち嫌い?」
「そうだな、きら……」

ニコニコしながら聞いてくる二人に、皆守は気づいた。


エイプリル・フール


今日は嘘が本当になる日なのだ。
意味の逆転する日。

詰まる皆守に、二人は答えを急かした。



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八千穂と葉佩はちゃんと気づいてるんですね。
甲が二人を嫌いじゃないってこと。